お直しのこと。

こんにちは、meiriです!
まだまだ残暑が厳しい地域もありますが、私のところには村に来てから初めての「衣替えシーズン」がそろそろやってきそうです。
衣替えに向けて自分のクローゼットを整理していたら、去年履きつぶした穴だらけ&毛玉だらけの靴下が出てきました。
捨てるかちょっと悩むけれど、まだまだ直して使えそうだなぁと思って、デンマークのルームメイト、Yちゃんとのストーリーを思い出しながら、チクチクお直ししてみました。

私とお直しの話。

ちょっと昔話をしたいと思います。

私と母と穴のあいた靴下

私が学生で、まだ両親のもとで生活していた時のこと。
きっと誰しも、親が繰り返し言っていたことってどこかに記憶があると思う。私の場合も忘れられない母の口ぐせがあって。
この話をすると「どこのご家庭でもそうでしょ、うちだけじゃないのよ」と母がヘソを曲げてしまうから、母には内緒にしておいてほしいのだけれど、私の母の口ぐせは「うちは貧乏だから」。日々その口ぐせを聞いて、私は育った。
今でも靴下が破れたら自分で縫うし、学生の頃はカーデガンを毎日のように着てたから、袖口が薄くなることがよくあって、母に縫ってもらった記憶がある。
上手に直せれば見た目は全く気にならない。身に着けてみるとちょっとゴロゴロはするけれど。
上手く直せなかったらちょっとダサい。
今思えば、母は物を大事にしてほしかったのかもしれない。
母が忙しくて、自分でカーデガンのお直しに挑戦してみたこともあった。
上手く直せなくて、結果ちょっとダサくなった袖口を見つめながら、毎日袖を通した学生時代を懐かしく思う。

私と破れかけのお股inデンマーク

そんな学生時代を過ごし、私は専門学校を卒業してデンマークへ留学することにした。留学期間は約半年。帰りには荷物が増えるだろうから、持っていく荷物は最小限がいい。
普段はスカートやワンピースばかり着ていて、もともとパンツはそんなに履かないから、ユニクロのスキニーを1本だけおともに持って行った。
そして大きなトラブルもなく、初めての海外での生活を謳歌していたある日。その1本しかないパンツを履こうとしてふと気が付いた。

……このパンツ、お股が薄くなってる。

きっとユニクロのスキニーが悪かったわけじゃない。
荷物を少なくしようとして、持ってきた服が少なかった結果、それだけの回数を履いたのだと思う。普段、パンツを履くことがそんなにない私は、パンツのお股って薄くなるのねと感心した。試しに履いてみたらなんだか笑えてきて、当時ルームメイトだったデンマーク人のYちゃんに

「みて! パンティー見えちゃいそう!! 」

なんていう、ある種のセクハラめいた言葉を投げかけようとして、いや、実際に投げかけて一緒に笑おうと思ったら、

「――ふふ。私、直し方知ってるわよ」

という、斜め上からの返事をもらった。
そして自分の直したパンツのお股を見せてくれた。
なんだか刺繍がしてあって、お直しなのに、かっこいい。
Yちゃんは、「なかなか自分に合うサイズがないから破れたら直して履いてるんだ~」ということだったけれど、すごく愛が伝わるお直しだった。

装飾ダーニング

そんなカルチャーショックを受けたのもあり、もともと靴下は直して履くものだと思っていたのもあり、今回はこのボロボロの靴下をかわいく直しちゃいたいと思います!
日本では装飾ダーニング(※)というそうです。
※ダーニング=darning 英語で繕いの意。

材料

  • 穴が開いたり、薄くなったりした靴下
  • お気に入りの毛糸
  • 針(先が丸いものが良)
  • ハサミ
  • ダーニングマッシュルーム(あれば)

ダーニングマッシュルームはあると作業がはかどります。

私は自分で作りました。
ない場合も手で代用できるので安心してください。
今回、毛糸はセカンドハンドショップで購入した羊毛を自分で紡いだものを使いました!
一緒に授業を受けていたおばあちゃんが、「これは糸から紡いで編んだんだよ~」と言って見せてくれたショールと同じ色だったので、「おばあちゃんがセカンドハンドショップに持ち込んだ材料だったんじゃないか」と、私はひそかに思っています。
そのおばあちゃんは私の糸車の師匠なんだけど、またその話は機会があれば紹介したいと思います。

下準備

縫う前に、毛玉の処理をします。私は生地が痛むのが嫌なので、ちょっと手間だけれど手でつまみながらハサミでチョキチョキと切っていきます。
毛玉取り器よりもこっちのほうが断然生地が傷まない! 気がする(笑)
毛玉の処理が終わったら、いよいよ縫います。
今回は穴が開いている部分は四角く塞ぎ、薄くなっている部分は補強していきます。

穴を塞ぐ。

1-1.ダーニングマッシュルームをセットする。

靴下の中にダーニングマッシュルームを入れて、縫う場所にセットします。
※ダーニングマッシュルームがない場合は左手(利き手の反対の手)を入れてください。

穴が開いている場所と、周りの薄くなっている部分がよくわかると思います。
※写真はわかりやすいように引っ張り気味にしています。

1-2.波縫いをする。

始めは玉結びはせず、穴の横に1辺だけ波縫いをします。

1-3.穴に糸を渡す。

波縫いをした向かいに糸を渡し、1針すくい、今度は波縫いをした側で1針すくいます。
これを繰り返して、穴を覆う大きさまで糸を渡します。

1-4.織る。

今度は先ほど渡した糸に対して、上下交互になるように糸を通していきます。
織物の平織りのイメージです。
先に渡した糸を割らないように(縫ってしまわないように)注意してください。
※写真では先ほど黄色の糸で作った部分が赤色になっています。

1-5.1針すくって織る。

端まで行ったら、1針すくって折り返します。
先ほど上を通った部分は下、下を通った部分は上に糸を通していきます。

1-6.織れなくなるまで織る。

1-4と1-5を繰り返すと穴が見えなくなります。
できたら残りの糸は縫ったところを何針かすくってから、裏で糸を切ります。
穴が塞げました!

薄い部分を補強する。

今度は穴の周りの薄い部分を補強していきます。
これは穴を塞ぐのに比べたら楽ちん。

2-1.波縫いをする。

薄くなっている地の生地をすくって、波縫いをしていきます。
薄くなっている部分の端まで行ったら折り返し、また端まで行ったら折り返してください。

2-2.交差するように波縫いをする。

先ほど波縫いした部分と交差するように波縫いをします。
薄くなっている部分の端まで行ったら折り返し、また端まで行ったら折り返してください。
満足したらまた少し何針か波縫いをしてから、裏で糸を切ったら完成です!

お気に入りのお洋服も、自分の手で直すとなんだか愛着がわいちゃいますよね。

そうそう、デンマークにはセカンドハンドショップという、日本でいうリサイクルショップのようなお店があって、私が通っていた学校がハンドクラフトの学校だった故なのか、古着を購入して、自分で直して着る人も結構いました。それこそ、授業ではリメイクの授業があったくらい。

あのお股の薄くなったパンツは、日本に帰るときにセカンドハンドショップに持っていきました。もしかしたら誰かが、あの薄くなったお股をかっこよく直して愛を注いでくれているかもしれない。

ここからずっと離れた、デンマークで。